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恋するエクソシスト
☆第5巻5/17発売☆
恋するエクソシスト(Regalo)
『恋するエクソシスト』

恋するエクソシスト 2 (Regalo)
『恋するエクソシスト2』

恋するエクソシスト3 (レガロシリーズ)
『恋するエクソシスト3』

恋するエクソシスト4 (レガロシリーズ)
『恋するエクソシスト4』

恋するエクソシスト5 (レガロシリーズ)
『恋するエクソシスト5』
鍵屋甘味処改(完結)
2017/1/20第5巻発売
鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常 (集英社オレンジ文庫)
一巻

鍵屋甘味処改 2 猫と宝箱 (集英社オレンジ文庫)
二巻

鍵屋甘味処改  3 子猫の恋わずらい (集英社オレンジ文庫)
三巻

鍵屋甘味処改 4 夏色子猫と和菓子乙女 (集英社オレンジ文庫)
四巻

鍵屋甘味処改 5 野良猫少女の卒業 (集英社オレンジ文庫)
五巻
お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係
1/20発売!
お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係 (一迅社文庫アイリス)
読み切り
『神隠しの森 とある男子高校生、夏の記憶』
神隠しの森 とある男子高校生、夏の記憶 (集英社オレンジ文庫)

『神神神は、罪に三度愛される』
神神神は、罪に三度愛される (朝日エアロ文庫)

『世界螺旋 -佐能探偵事務所の業務日記-』
世界螺旋 ―佐能探偵事務所の業務日記― (コバルト文庫)

『レドラナール恋物語 蜜色の花園』
レドラナール恋物語 蜜色の花園 (コバルト文庫 り 1-1)

第七帝国華やぎ隊(完結)
2016/1/20第2巻発売!
第七帝国華やぎ隊 その娘、飢えた獣につき (一迅社文庫アイリス)
一巻

第七帝国華やぎ隊 その恋、語ることなかれ (一迅社文庫アイリス)
二巻
狂伯爵と買われた花嫁(完結)
★全四巻★
狂伯爵と買われた花嫁-赤の婚礼- (仮) (一迅社文庫アイリス)
1巻

狂伯爵と買われた花嫁2 新婚旅行にご用心! (一迅社文庫 アイリス り)
2巻

狂伯爵と買われた花嫁3 不器用な蜜月 (一迅社文庫アイリス)
3巻

狂伯爵と買われた花嫁4 永遠を誓う愛の言葉を君に (一迅社文庫アイリス)
4巻
終焉の王国(読み切り)
10月21日続編発売!
終焉の王国
★読み切り★

終焉の王国2 偽りの乙女と赤の放浪者
★読み切り★
緋ノ刻印(完結)
緋ノ刻印
第一巻

緋ノ刻印 (2) (角川ビーンズ文庫)
二巻完結
恋エクドラマCD
恋するエクソシスト ドラマCD ~やくそくのばしょ~
『恋するエクソシスト やくそくのばしょ』
海上のミスティア(完結)
☆全12巻☆
海上のミスティア (一迅社文庫アイリス)
1巻

海上のミスティア道化師と恋に落ちた騎士 (一迅社文庫 アイリス り 1-4)
2巻

海上のミスティア黒の鎖と囚われの騎士 (一迅社文庫 アイリス り 1-5)
3巻

海上のミスティア―月の女神と永遠を謳う騎士 (一迅社文庫アイリス)
4巻

海上のミスティア 闇の使いと愛を語る騎士 (一迅社文庫 アイリス り 1-7)
5巻

海上のミスティア 暁の乙女と誓いの騎士 (一迅社文庫アイリス)
6巻

海上のミスティア 白き女神と悪夢をつむぐ王
7巻

海上のミスティア 恋の呪縛と略奪の騎士 (一迅社文庫 アイリス り)
8巻

海上のミスティア 二人目の婚約者と愛しき騎士 (一迅社文庫アイリス)
9巻

海上のミスティア いつわりの女王と沈黙の騎士 (一迅社文庫アイリス)
10巻

海上のミスティア 革命の女神と盤上の騎士 (一迅社文庫アイリス)
11巻

海上のミスティア 目覚めの乙女と虚構の王 (一迅社文庫アイリス)
12巻(完結)
花宵の人形師(完結)
花宵の人形師  あるじ様は今日も不機嫌 (角川ビーンズ文庫)
第一巻

花宵の人形師あるじ様と奪われたくちづけ (角川ビーンズ文庫)
第二巻

花宵の人形師    あるじ様の熱情 (角川ビーンズ文庫)
第三巻(完結)
華鬼シリーズ(書籍)

華鬼 終焉とはじまりの乙女 (Regalo)
番外編


華鬼

華鬼2

華鬼3 (Regalo)

華鬼4 (Regalo)

『華鬼』関連商品
華鬼 -恋い初める刻 永久の印ー 公式ビジュアルファンブック (B's-LOG COLLECTION)
ゲーム『華鬼』VFB

華鬼 ~恋い初める刻 永久の印~(通常版)
ゲーム『華鬼』 -通常版-

華鬼 ~恋い初める刻 永久の印~( 限定版: 設定原画集/ドラマCD 同梱)
ゲーム『華鬼』 -限定版-

華鬼~恋い初める刻 永久の印~ ドラマCD
ドラマCD

「華鬼」 DVD-BOX
『華鬼』DVD-BOX(※全話収録+特典付き)

華鬼プロローグDVD 華鬼×神無 編
プロローグDVD(華鬼×神無編)

華鬼プロローグDVD 麗二×もえぎ 編
プロローグDVD(麗二×もえぎ編)

華鬼プロローグDVD 響×桃子 編
プロローグDVD(響×桃子編)

華鬼―映画「華鬼」オフィシャルフォトブック
オフィシャルフォトブック

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(仮)舞台『華鬼』3D&2D [Blu-ray]

華鬼 ~恋い初める刻 永久の印~ ドラマCD 「スノウガーデン」
ドラマCD第二弾『華鬼~スノウガーデン~』

華鬼 ~夢のつづき~(通常版)
ゲームFD「華鬼~夢のつづき~」(通常版)

華鬼 ~夢のつづき~ (限定版:特典ドラマCD、オリジナル小冊子同梱)
ゲームFD「華鬼~夢のつづき~」(限定版)
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時計塔の怪盗―白き月の乙女 (一迅社文庫 アイリス り 1-1)
-白き月の乙女-(前編)

時計塔の怪盗-黒き救いの御手 (一迅社文庫 アイリス り 1-2)
-黒き救いの御手-(後編)
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<< ……。 main 病院と病院に行ってきました。 >>
祝☆サイト開設四周年~☆
2008-01-13-Sun
です。
日頃からお越しくださる皆様、はじめて足を踏み入れてくださった皆様、これからもよろしくお願いいたします。

プレゼントが届きました。ありがとうございます!
可愛い時計をいただきました♪ わーい。あとネコマンガも!! ラブリーv
写真見てホクホクしてました。
お手紙、年賀状、アンケートコメントもありがとうございます。幸せです……。

本日は誕生・転機にまつわるお話しを過去に日記で書いたことあったよなーと思って発掘してきました。
旧日記で書いていたものなので、……二年以上前に書いたんだな(万里のみ今回書き下ろし)
意外な面々がそろっている超SS三作はすべて『華鬼』キャラです。
興味ある方はどうぞ↓(※水羽はダーク調)



----------《三翼/早咲水羽編》------------------

「大丈夫?」
 総馬は数歩先の闇を行く女に声をかけた。すでに臨月に入っている女は、クスクスと笑いながら振り返る。
「平気よ。心配性なんだから」
「でも、水紀」
「家でじっとしてるのも飽きちゃった。少しは歩かなきゃ、赤ちゃんにも悪いでしょ」
 そう言って、水紀は再び前を向いた。
「そろそろ鬼ヶ里に帰ったほうがいい。ここは物騒だし」
 女を狙った殺人鬼がいると世間は連日のように騒いでいた。殺人鬼はとくに妊婦を好み、非情な手段で殺害しているらしい。
 いくら総馬がついていても、臨月の女を守れるかと問われると自信がない。彼女が初産で要領を得ないというのもあるのだが、それ以上に殺人鬼の噂が気になっていた。
「鬼ヶ里に戻らないとダメ?」
「戻ったほうがいい。鬼の子は、鬼が取り上げたほうが問題が少ない」
「……もうしばらく、こっちにいたい」
「わかったよ」
 苦笑して夜空を見上げた。見事な満月が闇に浮かび、世界を淡く照らしていた。
「ねぇ、子供の名前決めたんでしょ? もう教えてくれてもいいんじゃない?」
 水紀に呼びかけられ、総馬は視線を彼女へと戻した。
 外灯の下で身重の女がゆっくり腹をさすりながら笑っていた。
「君の名前から一文字もらって」
「え? 私の?」
 嬉しげに小首を傾げるその姿に照れ、総馬はわずかに視線をはずした。
 その、瞬間。
 風が小さく鳴く。ぱたりと頬に生暖かい雫が落ちた。
 なんだろうと考えるよりも早く、視線が水紀に向いた。赤い霧雨とともに、鼻腔に血臭が染みた。
「水紀……?」
 総馬は問う。
 目の前の、つい先刻までは“女”だったものに。
 彼女が着ていた白いゆったりとしたワンピースが真紅に染まっている。勢いを失い、それでも流れ続ける血が体の外へと吐き出される。
 総馬はとっさにあたりを探した。
 まともな心理状態とは言いがたかっただろう。
 彼は、水紀の体から一瞬で失われたモノを探していた。立ち尽くす首のない体を視界に留めながら、そのとき彼は、嘆くよりも怒るよりも先に、愛しい女の首を探していたのだ。
 彼は現状が呑み込めていなかった。
 妻の首がなくなってしまったから、それを拾ってもとの場所にもどしてやらないと――ただそう考えた。巷を騒がす連続殺人気の仕業と思い当たるのにはかなりの時間を要する。
「水紀」
 総馬はあたりを見渡し、立ち尽くしていた水紀の体が大きく揺れたことに気づいた。
 数歩踏み出し、両手を伸ばす。ぐっしょりと生暖かく濡れた体が、彼の腕の中に納まり――彼はようやく、悲鳴のような呻き声をあげた。
「水紀、水紀!」
 アスファルトが赤く染まるのを見て、総馬は慌てて彼女の首を押さえた。押さえて再び、彼女の頭部がないことを確認して悲鳴をあげた。
「水紀……っ」
 どうする事もできず彼は彼女の遺体にすがりつき泣き叫び、そして、ようやく息を呑んでその腹部へと視線をやった。
 臨月を迎えた彼女の腹には、新しい命が眠っていた。
 もうすぐ生まれると期待と不安に揺れる笑顔で教えてくれた。
「――水羽」
 彼女に、子供の名前も教えてやれなかったと、その時になって彼はようやく気がついた。

 鬼は人と共存する。
 それは人の社会が力を増したがゆえに、彼らの住む場所が手狭になってしまったからだ。
 だが、染まりきれない者もいた。
 鬼を狩る鬼たちを「闇の鬼」と書いて「あんき」と言う。

 そして、人を狩る鬼は――。


----------《生徒会副会長/須澤梓編》------------------

 ここは奥州片田舎。とある農村地帯にございます。
 いえ、田舎といっても電気もあればガスもある、ただ野菜を作って生計を立てる者が多いってだけで、けっして時代に遅れを取っちゃあございません。
 ちょっとドがつく田舎ですが、もちろん自慢がございます。
 それは正美さんのお宅の一人娘。
 立てば芍薬《しゃくやく》座れば牡丹、歩く姿は百合の花――そんな言葉がぴったりの、はて親の顔はと首をひねりたくなるような、そりゃあたいそう美しい娘でした。
 小中学校は学級委員をお勤めになり、秀麗眉目、頭脳明晰、さらには運動神経もずば抜けておりまして、非の打ち所がございません。しかもそれを鼻にかけることもせず、休日などは両親といっしょに畑仕事を手伝うような娘でございます。
 白魚のような手が荒れないかと、畑仕事にいそしむ彼女を見た人間が胸を痛める姿など日常茶飯事、見飽きたほどでしょうか。
 そんな器量よしの娘でございます、まだ幼いながらも後々はぜひせがれの嫁に、そう頼み込む者も多うございました。
 しかし正美さんはどんなにいい話も頑として首を縦に振りませんでした。
 痺れを切らした若者が、じかに彼女と話し合い、必ず頷かせると意気揚々と出て行ったことは数知れず――けれど誰も彼も、なぜか狐につままれたような顔で帰ってまいりました。
 やがて彼女が十六の歳。
 天女のごとく可憐なその娘は、忽然と姿を消したのでございます。
 周りは火がついたかのように大騒ぎ。ただ、正美さんだけはほっと安堵したように穏やかな表情をして山の向こうを眺めておりました。
 それを目にした人間はおりますまい。
 十六年前の約束が、ようやく果たされようとしていたのでございます。
 その娘の胸元には、見事な大輪の花の印があったと言われております。
 ここだけの話し、その印がある娘は必ず幸せになると伝えられております。ええ、けっして口外などなされませんように。
 それは、人とは似て非なる者――彼らがひっそりひっそり贈る想いの華。

 その夜その娘は、花も見惚れて色づくほどに、晴れやかに艶やかに着飾って鬼のもとに嫁いだのでございます。


----------《執行部書記/今井万里編》------------------

 巧妙にミシンを操り、色とりどりの華やかな布を継ぎ合わせ着々とカタチを作っていく。止まることのない機械音、軽い鼻歌を中断させたのは、執行部の部室を開けた男――会長の士都麻光晴だった。
「あ、おはようございます、会長ー」
 万里が笑顔で片手を上げると、光晴は万里の手元を凝視して生返事をした。次に彼はカレンダーを見て、もう一度万里の手元を見、さらに万里の顔を見てからカレンダーへと視線を戻す。
「それは……バレンタインに使うんか」
 さすがに心得た質問に万里はにやりと笑って右手の中指で眼鏡を押し上げた。
「こうご期待!」
「や! ご期待って! 期待できんから訊いとるんやぞ!?」
「任せてください、会長。執行部の名に恥じぬよう派手なイベントを計画中です」
「そんなん計画せんでええ!」
「照れなくてもいいじゃないですかー」
「照れてへんし! それ、ピエロの衣装やろ。イベント系はもうちょっと学校行事らしく静かにやってくれって先生から言われとるんや。でないと、全面的に禁止するって」
「ケチ臭いなーじゃあここは堂々とゲリライベントですね!」
「止めるっちゅう発想はないんか?」
「わが辞書に不可能の文字はない」
「ごっつ解釈間違えてるやん」
 鞄を使い込まれた革張りのソファーに投げ捨て、光晴はその隣にどっかりと腰を据えて宙をあおぐ。無理に止めないところが光晴の弱さであり優しさであること、そして、何かあれば一番に矢面に立つ覚悟があることを万里は知っている。だからこそ思い切り馬鹿騒ぎができるし、本当に迷惑をかける事態にならぬよう、細心の注意を払うことも覚えた。
「私の誕生日、バレンタイン前日なんですよね」
「あ、そうなん? なんかほしいもんある?」
「……いえ」
 ふと一年前のことを思い出し、万里はゆっくりと首を振った。
「一番ほしいものはもうもらっちゃったんで」
 プレゼントに何がほしいと家族に問われ、一年前の彼女はほんの軽い気持ちで家族旅行と答えた。まさか本当に用意されているとは思わず、そして、帰りの車中で惨事に巻き込まれるなど露ほども考えず、当時、彼女はひどく浮かれていた。
 テーマパークで元気に動き回るマスコットをまねて走り回り、大道芸人と一緒になって大騒ぎして家族に苦笑される――いつも通りの、なんの変哲もない家族旅行。クラウンになりたいと冗談で口にすると、クラウンとピエロはどう違うのか家族で大論争になった。
 家族で繰り広げた論争の結果は出ていない。
 途中でぶつりと記憶は途切れ、彼女は楽しかった車中とは違い、あまりに静かな病院のベッドで目をさました。トラックの下に巻き込まれ、彼女の乗った車が大破したことは、目覚めた日に見知らぬ男から伝えられた。これといって涙は出ず、ただ実感も湧かずに彼女はその言葉をぼんやりと聞き流し、包帯を巻かれた腕を見ていた。
 助けられなかったと、悔しそうに肩を震わせる男の姿をひどく奇妙に感じた。そしてそれからしばらくして、さらに別の男が現われて、同室していた男と同じように――いや、それ以上に悲壮な顔をして、彼女を抱きしめた。もう声を出してもいいんだよ、そう言われてはじめて自分が泣いていることに気がついた。
 世界が一瞬にして暗転する。悔やんでも悔やみきれずに三日三晩泣きはらしているうちに葬儀の手配やもろもろの手続はすべて男たちの手ですまされた。彼らはそして、両親が彼女にあてた手紙を手にしてやってきた。
 手紙の内容はあまりに馬鹿げていた。それでも彼女にとって、それは唯一残された確かな“言葉”だった。彼女を引き取ることを渋った遠い親類と名乗る者たちには丁寧に礼を述べ、彼女は男たちに言われるまま鬼ヶ里と呼ばれる場所へやってきた。
 それが一年前、彼女が十六歳になったときに体験したこと。
「なんや、もうプレゼントもらったんか」
 万里の目の前にいる男は、少しだけ残念そうな顔をしてつぶやき、そして手を打った。
「せや、ケーキこうたるな! 万里ちゃんはイチゴ好きやろ」
「手作りじゃないと食べてあげませんよー」
「なんちゅう我が儘な!」
「作ってくれるんですか?」
「料理できん。スポンジふくらまんやん」
「じゃあスポンジだけは購入可で。トッピングは会長がやってくださいね」
「……わかった、どんなんができても苦情は受け付けんからな」
 やった、と手を打つと、光晴が微苦笑する。
「ピエロの衣装作りも頑張っちゃうぞー」
「いや、それは頑張らんでも!」
「誕生日の翌日は、楽しいバレンタインにしましょうね!」
 万里の弾む声に光晴の苦笑が濃くなる。お茶を淹れるためにソファーから立ち上がりゆっくりと給湯室に向かうその背を目で追っていた万里は、出入り口のドアが開いたことに気づいて首をひねった。
「あれ? 誰か来てるの?」
 入ってきたのは会計の都村涼だ。彼はテーブルの上にあるミシンと広げられたピエロの衣装に瞳を細め、それからソファーに投げ出された鞄を見て万里に問いかけた。
「会長が給湯室に」
「珍しく早いな。……万里、平気?」
「なにが?」
「……なんでもないなら、いいけど」
 近づいてきた彼は鞄を棚の上に置き、ソファーに腰かける。
「誕生日、何がほしい?」
 何気ないふうを装っても、涼の声が緊張で固くなっているのがわかった。一年前のあのときのように、彼は万里の一挙手一投足を見逃すまいとまっすぐな視線を向けてくる。
「去年と、同じもの」
 それは多分、生涯を誓うための言葉。残された手紙にしたためられた思いをカタチにしていくために何より必要な、彼女自身を支えるためのもの。
「俺、できれば残るものをプレゼントしたいんだけどな」
「残ってるよ。ちゃんと」
「毎年、言うの?」
「うん。死ぬまで」
「了解」
 少しだけ困った顔をしながら涼が頷く。給湯室から聞こえてくる光晴の悲鳴に目を見開いて、彼は肩をすくめてから部室の奥へと歩いていった。
「俺は何があっても、君を残して死んだりしないから」
 今も鮮明に耳に残る言葉がある。立ち止まるたび、泣き崩れるたび、確かに支えてくれる人がいる。
 だからこそ。
「今井万里、今日も元気っす」
 真っ青に晴れ上がった空に、大好きな人たちが大好きだと言ってくれた笑顔を向ける。
日常 cm(3) tb(0)
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コメントありがとうございます!

>Kさん
お祝いの言葉ありがとうございます!
か、体は大切にしたいと思います、切実に!!(汗)
こそっといろんなことをやって行きたいと思いますので、これからもよろしくお付き合いくださいませ。
頑張るぞー!! ぉぅ(小声)

>Sさん
お祝いの言葉ありがとうございます!
お陰さまで無事に四周年を迎えることができました。五周年に向かってこれからも頑張っていきたいと思います。
って、リアルタイムでご覧になった記憶が……!?
あ、じゃあネタばらしで。
水羽の母親を殺害した者が凝鬼と俗称される鬼で、「華」関連で書いた短編は彼にまつわるもの、さらに『月の標』最新話で出てきた〝彼〟と同一人物です。
いずれ明かされる因縁話、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
ではでは!
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